坂木司『おやつが好き お土産つき』あらすじ・感想・レビュー ~おやつは、自由だ~

 

『おやつが好き お土産つき』

 今回は、坂木司『おやつが好き お土産つき』を紹介します。

 日常に身近な「おやつ」。

 そんなおやつについて、真剣に向き合い、美味しいおやつを紹介したエッセイです。

 「今日のおやつは何にしようかな?」と気分がうきうきしてくる1冊。

『おやつが好き お土産つき』とは

 『おやつが好き お土産つき』は、2022年に文藝春秋から出版された、坂木司さんのエッセイ。

 『銀座百点』というタウン誌に連載したおやつについての紹介エッセイを中心におやつに関連したエッセイを収録し、文庫化したものです。

『おやつが好き お土産つき』のあらすじ

 『和菓子のアン』など、美味しそうなタイトルでほっこりあたたかい小説を書く坂木司さんの、おやつにまつわるエッセイ。

 『銀座百点』というタウン誌の連載ということもあって、銀座のお店を中心にお菓子を紹介しています。

 もちろん、甘いものもしょっぱいものも分け隔てなく、坂木さんのおやつ愛をもって誠実に、丁寧に紹介されています。

 週末に食べるおやつを探すもよし、おやつを食べながら読むもよし。

 テーブルにあたたかいお茶を用意しながら読みたい1冊。

『おやつが好き お土産つき』の感想・レビュー

 数ある食にまつわるエッセイでも、坂木さんの『おやつが好き お土産つき』をおすすめする理由は、おやつを紹介する文章が誠実で、丁寧だから。

 装飾が過剰で、とにかくキラキラした言葉を並べて、おやつをお世辞もおべっかもなんでもありで褒めたたえる……そんなエッセイでは途中で胃もたれして飽きてしまうでしょう。

 しかし、坂木さんの『おやつが好き お土産つき』は、誠実な言葉で、おやつの良さを丁寧に紹介しています。

 そこに派手さやキラキラしたまぶしさはありません。

 その分、滋味に溢れていて、1編読むごとに心の中に幸せが満ちていくのです。

 おやつ、特に和菓子に詳しいのかと勝手に想像していましたが、そうではないようで、知らないことは素直に「知らなかった」と書けるまっすぐさにも心惹かれました。

 あまり本を読まない人にも分かりやすく、親しみやすい言葉で書かれてるので、肩ひじ張らずに、リラックスして読むことができます。

 なのに、紹介されているお菓子の美味しさや手触り、香りまで目の前に立ち上ってきそう。

 銀座にお菓子を買いに出掛けたくなる本です。

 お土産に悩んでいる人にも、「こんなお菓子があったのか!」とハッとアイデアを与えてくれそうです。

こんな人におすすめ

  • ほっこりするエッセイを読みたい人
  • 美味しいお菓子を食べることが好きな人
  • お土産や自分へのご褒美に悩んでいる人

まとめ

 読んでいると、思わず「早くおやつの時間が来ないかな」と楽しみになってしまう本、『おやつが好き お土産つき』を紹介しました。

 読んでいて、お菓子への好奇心を搔きたてられると同時に、幸せな気持ちになる、素敵なエッセイです。

 文庫本なので、持ち歩きにも便利。

 ちょっとした時間に1編読むだけで、誠実で丁寧な言葉に、何だか優しい気持ちになれること請け合いです。