今回は、三浦しをん著『のっけから失礼します』を紹介します。
ありふれた日常を綴っているのに、なぜか抱腹絶倒エピソードになってしまうしをんさんの世界はすごい!
そう感じさせられる1冊です。
『のっけから失礼します』あらすじ
しをんさんの『のっけから失礼します』は、女性向け雑誌『BAILA』の巻頭に連載されたエッセイをまとめた書籍です。
しをんさんはご自身のエッセイを「アホエッセイ」と書いていて、『BAILA』に日常の生活感丸出しのエッセイを掲載して大丈夫か、と気を揉んでいたが、連載が続いたということは、きっと『BAILA』の読者にもウケたのでしょう。
しをんさんが書いているのは、しをんさんの日常やご家族のこと。
要するに、ありふれた日常を綴っている。
なのに、どうしてしをんさんが書くと、こんなに爆笑エッセイになるのだろう。
公共交通機関や図書館で読むと、笑ってしまって他の人から怪しまれるので注意が必要です。
『のっけから失礼します』感想・レビュー
日常がこんなに爆笑に溢れることってあるんだ、というのが感想です。
それはきっと、しをんさんが特別なのではなく、しをんさんが物事の面白い側面や、明るい側面を見るのが得意な人だからなのだと思います。
日常に潜む面白いことを発見するだけでなく、それを、思わず笑ってしまうような言葉で綴るしをんさんの手腕に、「え?」と思いながらもどんどん引き込まれていきます。
ただ「感動した」という言葉で表現が済んでしまいそうなところを、「「きらめき貯蔵袋」が破ける」という、一瞬読者が「ん?」となる言葉で表現。
確かに、いわゆる「推し」のまばゆいばかりの笑顔やオーラを浴びたら、それはきらめきを大量に浴びているし、それに対する「きらめき貯蔵袋」は破裂してしまう。
しをんさんにしか書けないユニークな言葉で読者を立ち止まらせ、笑いの渦に巻き込むのです。
好きなものにまっすぐ正直なエピソードは輝くしをんさんの表情を想像すると、微笑ましくなるし、仕事が遅れたり自堕落なエピソードは「分かる」と共感したくなるし、そのどちらにも明るい笑いがあって、あっけらかんとしているのが最大の魅力。
この1冊でひとしきり笑った後は、何だか「よし、頑張るか」と思えて日常に戻れるからこれまた不思議。
元気の出る1冊です。
こんな人におすすめ
- 毎日が同じことの繰り返しでつまらない人
- 笑いたい人
- ユニークな言葉選びを味わいたい人
まとめ
三浦しをん著『のっけから失礼します』は、日常を楽しく生きるヒントがあるような気がしてくるエッセイです。
書かれていることは確かに何だか「アホエッセイ」なのですが、そこには日常を笑顔に変える、しをんさんの人柄がちりばめられています。
元気が出てきそうな明るい黄色い装丁が目印。
面白さゆえに、読む場所には注意が必要ですが、三浦しをんさんの世界に飛び込むにはぴったりのエッセイです。