岡本真帆『あかるい花束』感想・レビュー ~言葉も花束にできる~

『あかるい花束』

 今回は、岡本真帆著『あかるい花束』を紹介します。

 岡本さんの穏やかな人柄溢れる歌集です。

『あかるい花束』とは

 2022年に第一歌集『水上バス浅草行き』を刊行した、今注目されている歌人、岡本真帆さん。

 彼女の第二歌集が、ナナロク社から刊行された『あかるい花束』です。

 東京と、ふるさとである高知との二拠点生活を始めた岡本さんの心の動きや、あった出来事などが短歌になっています。

 エピソードをそのまま生絞りのように短歌にしたものも、エピソード生絞りではなく、岡本さんの心のフィルターを通したものも、どれも珠玉。

 2年間で作った短歌のうち、266首を収めた『あかるい花束』は、軽い読み心地ですが、満足感の大きな歌集です。

『あかるい花束』感想・レビュー

 まさに、「あかるい」本。

 それもキラキラまばゆいのではなく、優しい陽だまりの明るさ。

 目が痛くなる明るさというより、何だか心も晴れやかになって、スキップしたくなる明るさ。

 そこに、岡本真帆さんの人柄が表れているように感じました。

 犬が好き、スピッツが好き、自然が好き、ビールもたぶん好き……。

 そんな岡本さんのたくさんの「好き」が、岡本さんの頭の中、心の中の短歌ファクトリーを通して、優しい短歌に仕上がります。

 人生では様々なシーンで花束を誰かにプレゼントする機会があります。

 そんな時、花束として、優しくあかるい言葉が束ねられたこの『あかるい花束』をプレゼントできたら、と思ったりもしました。

 連作の間に花の挿絵が入っていて、読み進めていくうちに自分の心の中に花束が出来上がるような装丁も、心があたたかくなりました。

 言葉も普段私たちが使っている言葉が使われていて、生活に密着した短歌が266首も収録されているので、短歌は難しいものではないか、と思っている人にもおすすめ。

 読んで、「分かる……」としみじみ共感したり、「こんなことが短歌に?」とびっくりしたり、お気に入りの短歌を見つけるのも楽しいでしょう。

 新しく短歌の世界を知って、その楽しさ、奥深さに引き込まれること間違いなし。

こんな人におすすめ

  • 短歌を味わってみたい人
  • 優しい短歌を読みたい人
  • あたたかい気持ちになりたい人

まとめ

 岡本真帆さんの第二歌集、『あかるい花束』を紹介しました。

 キラキラゴージャスではないけれど、優しい明るさが心に沁みわたる歌集です。

 ぜひ、自分へのご褒美に、大切な人へのプレゼントにどうぞ。

 短歌は初めてという人にも、短歌が大好きだという人にもおすすめできる1冊でした。