くどうれいん『桃を煮るひと』あらすじ・感想・レビュー ~食べ物は人を幸せにする~

『桃を煮るひと』

 今回は、くどうれいん著『桃を煮るひと』を紹介します。

 くどうさんの、心の機微を描写する力を実感するエッセイ。

 読んでいて、幸せになれる1冊です。

『桃を煮るひと』とは

 作家として多方面に活躍する、くどうれいん。

 くどうれいんさんの5年ぶり、2冊目の食エッセイ集が『桃を煮るひと』です。

 日本経済新聞の連載に、書き下ろしも豪華に加えた41篇が並びます。

 表紙に大きく描かれた柔らかそうな桃が愛らしい1冊。 

『桃を煮るひと』あらすじ

 作家、くどうれいんさんの周りで起こる食べ物にまつわるあれこれ。

 それらを、あたたかい眼差しで描写した食エッセイ。

 食べ物、食べることは、人を幸せにすると伝わるエピソードがたくさんです。

『桃を煮るひと』感想・レビュー

 まず思ったのは、これは「食」にまつわるエッセイだけど、食べ物の紹介ではないということ。

 食べ物の細密な描写が光るエッセイとはまた違って、食べ物を巡る人々の心の機微がみずみずしく描き出されているのです。

 健やかに、そして、まっすぐに食べることと向き合う、くどうさんの人柄がじんわりと心をあたためてくれます。

 なんだか幸せな気持ちになって、微笑みながらうとうとしてしまいそう。

 表題の「桃を煮るひと」では、本当に桃の香りが漂ってきそう。

 桃も柿もトマトも、『桃を煮るひと』に出てくる食べ物はすべて美味しそうだし、それらを巡る家族、人々との交流が「食べること」の愉しさを倍増させてくれるのだと教えてくれます。

 「食べる」って楽しいことなんだ。

 大切な人と美味しさを共有できるのはとてもありがたいことなんだ。

 そう、まっすぐに伝えてくれるエッセイです。

 表紙に惹かれて買いましたが、「買ってよかった」と大満足でした。

こんな人におすすめ

  • 人のつながりに触れたい人
  • 幸せな気持ちになりたい人
  • 食べることが好きな人

まとめ

 文章から美味しい、文章から幸せ。

 そんな食エッセイです。

 ゆったりした気持ちになりたい時、ソファに寝っ転がりながら読むのがおすすめな1冊でした。

 表紙の大きな桃が目印。

 ぜひ手に取ってみてください。